航空会社の上級会員とは、どんなものなのか

航空会社の上級会員とは、どんなものなのか

ETCによる高速道路料金1000円均一、高速バスの参入企業増による低価格化など移動に伴う料金が値下がりつつある。そんななか、長距離を短時間で行ける航空では一定期間までに購入すれば安くなる運賃制度を導入。直前ではなく早い時期に顧客を囲い込む方法を取っている。さらに、よく使ってくれるユーザーには様々な特典を与える上級会員制度も導入。利便性を高め、継続的な利用を促すという囲い込みも行なっている。ここでは、この上級会員制度にフォーカス。会員になるための方法、サービスを導入しているJAL、ANAの2社の特典内容を比較しつつ、メリットを紹介していきたい。

 

旅行やビジネスで目的地に向かうために使う交通手段として利用する飛行機。あくまで目的地に行くためのものなので、たいしてこだわりを持つていない人も多いだろう。しかし、鉄道に比べ、飛行機の利用にはいろいろと制約が多い。例えば、安い運賃で利用するには一定期間前までに予約一決済が必要になるが、販売数は限定されており人気路線等ではさらに早い手続きが必要となる。

 

当日、搭乗手続きは遅くとも20分前には行なわないといけないし、大きな荷物は預ける必要がある。また、乗る前にはセキュリティチェックもあり、出発時間近くになると混雑することも多い。結局、予定より早めに行動しなければならない。また、搭乗時も乗り□が1〜2ヵ所しかないため、乗り降りに時間もかかり、手荷物の受け取りにも時間がかかる。もし、これらの場面でそれぞれ優待が受けられるとしたら、どうだろうか?

 

飛行機を多用する人にとっては、そこで省かれる時間や得られるゆとりに魅力を感じるかもしれない。上級会員制度は、飛行機をよく使う方に対して、まさにこれらを提供してくれるサービスなのだ。

上級会員になるには

上級会員になるにはどうすれば良いのか? ただ、マイルを貯めればいいというようなものではない。飛行機に搭乗し、その際もらえるフライトポイント(ANAはプレミアムポイント、JALはFLYONポイントという)を一定基準まで貯める必要がある。飛行機に搭乗すると、特典航空券等に引き換え可能なマイルが貯まることは知っている人がほとんどだろうが、実は、同時にフライトポイントというポイントも貯められているのだ。これにより、毎年1月〜12月までの1年間の実績に応じて翌年の4月から翌々年3月末まで優待資格が得られる仕組みになっているのだ。

 

具体的なポイント等は路線や運賃などによって変わってくる。ちなみに一番少ないポイントで得られる資格(JALはクリスタル、ANAはブロンズ)は、普通運賃で東京〜大阪線を片道で約31回利用すれば得ることができる。大阪線など区間が短い路線では他頻度の搭乗が必要だが、海外に行く人であればもう少し少ない回数で資格を得ることも可能だ。また、後を獲得すれば、航空会社が上級会員サービスをやめない限り、翌年以降も続けて資格を得られる会員制度に加入することも可能となり、そのお得度はさらに増す。

JAL、ANA両社の特典内容は

それでは、具体的にどんな優待を受けられるのかを見ていこう。両社とも利用頻度に応じて3段階のステイタスが用意されており、上位のステイタスになればなるほど、その分手厚い優待が受けられるようになっている。具体的な特典については表を見て欲しいが、高い頻度でメリットがある点は以下があげられる。

 

マイルが多くもらえる

 

それでは、具体的にどんな優待を受けられるのかを見ていこう。両社とも利用頻度に応じて3段階のステイタスが用意されており、上位のステイタスになればなるほど、その分手厚い優待が受けられるようになっている。具体的な特典については表を見て欲しいが、高い頻度でメリットがある点は以下が挙げられる。

 

通常、乗った区間と利用した運賃にあわせてマイルがもらえるが、これとは別にボーナスマイルとして乗った区間の50%〜125%のマイルがもらえる。例えば、東京〜大阪線なら普通運賃で通常280マイルもらえるが、さらに280マイル(JAL−サフアイヤ ANA〜プラチナ]ともに100%アップ)がもらえる。片道の利用で往復分のマイルがもらえるのだ。利用頻度が多くなれば今までよりも早く特典航空券等への引き換えも可能となる。

 

専用セキュリティレーンーラウンジ・優先搭乗の利用が可能

 

予定より早く到着してしまった時や搭乗口周辺が混雑している時に便利なのがこのサービス。出発時間帯に混雑しやすい手荷物検査場も羽田や成田等では専用レーンが用意され、待ち時間もなくスムーズに通過できる。ラウンジは、会員専用のため実に静かな雰囲気で落ち着くことができる上、ソフトドリンクやビールなどのお酒も飲める。

 

また、国際線利用時では成田尤としっかりとした食事もできるコーナーが常設されている。サフアイヤ(JAL)、プラチナ(ANA)以上であれば、さらにアライアンスに所属する他の航空会社のラウンジを利用することも可能。航空会社によって施設の雰囲気にも差かおるため、いろいろ楽しめる。優先搭乗は、搭乗時間になれば混雑するゲートを横目に優先して飛行機に搭乗することも可能。空港到着から飛行機に乗り込むまで混雑無縁の快適な時間を過ごすことが可能だ。

 

受託手荷物許容量優待

 

見落としがちながらたいへん便利なのが受託手荷物許容量優待。手荷物の預け入れは1人あたり規定の容量までと決められており、超過すると別途料金がかかる。お土産をいっぱい買いすぎてしまった時や所有するスポーツ道具等を旅先でも使用したい時などにおいて毎回別途料金を払っている人の場合、この容量は気になりがちだが。一定容量が無料となるためその分費用が軽減されることになる。

 

到着時手荷物の優先引渡し

 

手荷物を預けたときに面倒なのが、手荷物返却時の待ち時間。自分の荷物がどのタイミングで出てくるか分からないし、搭乗した飛行機が500名も搭乗できる大型機だと、最悪、数人分の荷物が出て来た後に出てくる可能性もある。空港からバスや鉄道に乗り継ぎしたい時などは、実に困ってしまうものだが、優先的に返却してもらえる。

 

満席時、空席待ちの優先対応

 

飛行機は座席指定かつ定員乗車制。当然ながら満席だからと言って新幹線のように立って移動することはできない。そのため、予約せず急速飛行機で移動する必要がある場合、満席だと空きがある便まで待つか、直前キャンセルによる空き席が割当てされるまで待つ必要がある。繁忙期などキャンセル待ちをしている人も多いと、なかなか自分の番になるまで時間がかかってしまうこともしばしはだか、このような時に他の人よりも優先的に対応してもらえる。なお、当日の搭乗だけではなく、事前の予約時においても適用される。またエコノミーからクラスJなど席をアップグレードする際、台風や機材トラブルの便欠航時にも対応してもらえる。

 

無料で席をアップグレード

 

ステータスのランク、実績に応じて、国内線や国際線利用時に予約したクラスより1つ上のクラスにアップグレードできるポイントがもらえ、自分の希望するタイミングで行使することができる。もちろん、権利を利用できるチケットを持っていることや席が空いていることなどの条件かおるが、自分が利用したいと思ったときに行使できるのは便利である。

 

まだまだ細かい特典もあるが、これだけでも十分メリットがあるのではないかと思う。また、正式なサービスではないが、国際線利用時においては利用便の状況によっては、航空会社の判断でエコノミーからビジネスクラスヘアップグレードしてくれるケースも。先ほどの任意ペースとは異なるが、追加負担無くより快適な席を提供してもらえることは嬉しい。

 

では、JAL、ANA、それぞれの特典内容を比較したいときにどちらがよいのか。両社は融合する企業でもあり、特典内容はほぼ同じような状況で極端な差があるわけではない。ただ、細かく見ると以下のような差がある。

 

資格を得るための条件はJALの方がやさしい

 

JALの方が、資格を得る条件が緩和されており、特に短い区間をよく利用する場合はANAよりも資格を得られやすくなっている。

 

優先搭乗においては国内ではANA、国際ではJAL

 

国内線で優先的に搭乗する場合、JALでは最上位のステイタスであるダイヤモンド会員でないと利用できないが、ANAは一つ下のステイタスであるプラチナも対応。一方、国際線ではJAL便の利用に限られるが全ステイタスで優先搭乗が可能となっている。